プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。
製品やサービスの特徴やメリット、ベネフィットを明確に伝えて顧客の関心を引き、購入・契約を促します。
また、市場のニーズを正確に把握し、競合他社との差別化を図ることで、市場でのポジションを確立することができます。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスの成功に不可欠だといえるでしょう。
本コラムでは、プロダクトマーケティングの基本から具体的な手法、学べる本まで、幅広くご紹介いたします。
目次
プロダクトマーケティングとは?
プロダクトマーケティングとは、特定の製品やサービスに特化したマーケティング戦略のことです。製品の開発初期段階から販売後の分析に至るまで、幅広い活動が含まれます。
マーケティングとプロダクトマーケティングとの違い
プロダクトマーケティングとは、マーケティングの中でも特に、製品・サービスに焦点を当てたマーケティングのことをいいます。
一方、一般的なマーケティングは、ブランド全体を対象としています。
プロダクトマーケティングとブランドマーケティングとの違い
では、ブランドマーケティングとプロダクトマーケティングとは、どう違うのでしょうか?
ブランドマーケティングは、ブランドのイメージやアイデンティティを構築し、強化することに重点を置いています。
一方、プロダクトマーケティングは、製品・サービスに重点を置いているため、製品の開発・販売を目的とした市場調査や競合分析、ポジショニングやメッセージング、ローンチやプロモーションなどを行います。
ただし、プロダクトマーケティングの一環として、必要に応じてブランドマーケティングを行うこともあります。
プロダクトマーケティングマネージャーとは?
プロダクトマーケティングマネージャーとは、製品・サービスの市場調査や戦略立案、販売促進などを担当する職種のことです。プロダクトマーケティングの責任を持つ立場です。
プロダクトマーケティングマネージャーは、製品の開発段階から関わり、顧客のニーズや競合の動向を分析し、製品の価値やポジショニングを決めます。
また、製品・サービスの開発チームやセールスチーム、マーケティングチームなどと連携して、製品のローンチやアップデートに伴うマーケティングプランやコンテンツの作成、実行、評価も担います。
プロダクトマーケティングの重要性・必要性
プロダクトマーケティングに取り組み、市場のニーズを正確に把握して、製品の特徴とメリットを明確に伝えることで、消費者の関心を引き、購入を促すことができます。
また、競合他社との差別化を図り、市場においてポジションを確立することが可能になります。
プロダクトマーケティングは、製品やサービスを成功させるために不可欠なものといえます。
特に、競争の激しい市場においては、プロダクトマーケティングは製品を際立たせるための重要な手段となります。製品のユニークな価値提案を明確に伝え、顧客の心を掴むことが、市場での成功への鍵となるからです。
プロダクトマーケティングの手順・戦略の立て方
プロダクトマーケティングに取り組む際は、まず戦略を立てることが不可欠です。
戦略立案では、市場における自社製品・サービスの位置付け、ターゲット顧客の理解、競合との差別化、効果的なコミュニケーション戦略など、製品の市場導入と成長に必要な要素を包括的に考慮する必要があります。
以下でプロダクトマーケティングを実施する手順・戦略立案のステップをご紹介いたします。
1.市場調査とターゲット顧客の理解
戦略立案にあたり、まずは業界のトレンド、市場の成長率、競合の戦略などを分析します。
最初に分析を行っておくことで、市場における自社製品の機会を理解し、リスクを低減できます。
つづいて、アンケートや個別インタビュー、グループインタビューなどを通じて、ターゲット顧客のニーズや課題・悩みを特定します。特に、顧客の声を直接聞くことで、製品が解決すべき具体的な問題が明確になるでしょう。
さらに、競合他社の製品・サービスや価格設定、マーケティング戦略などを分析することで、自社製品の差別化ポイントを見つけます。
2.製品のポジショニング
分析が済んだら、製品のユニークな価値を定義し、市場における独自のポジショニングを検討します。
まず、製品・サービスが顧客に提供するユニークな価値を明確にし、それを顧客に伝える方法を検討します。
そして、製品が最も効果的に訴求できる市場セグメントを特定します。その際は、人口統計学的特徴や地理的要因、購買行動なども考慮しましょう。
3.コミュニケーション戦略の策定
さらに、製品の特徴と顧客のニーズを結びつけるためのブランドメッセージを作成し、適切なチャネルで伝えます。
顧客にメッセージを届けるために最適なマーケティングチャネルを選択します。たとえば、Web広告、SNS、イベント、PRなど、ターゲット顧客に最も効果的にリーチできるチャネルを検討します。
さらに、製品の特徴やメリット、ベネフィットを伝えるためのメッセージを検討します。
そして、これを盛り込んだブログ記事や動画、インフォグラフィックなど、ターゲット顧客に響くコンテンツを作成します。
4.販売促進とデジタルマーケティング
最後に、オンライン広告、SNS、メールマーケティングなどを活用して製品の認知度を高めます。
オンライン広告には、Google広告やSNS広告などがあり、これら通じて、ターゲット顧客に直接リーチします。
また、Webサイトやブログ記事のSEO戦略を強化することで、製品やブランドと顧客のオンラインでの接点を強めます。
さらに、ニュースレターやプロモーションメールといったメールマーケティングを通じて、顧客との関係を築き、製品への関心を高めることもできます。
この時、訪問者数やリード数、コンバージョン率など、KPIを設定しておきましょう。
5.パフォーマンスの測定と改善
ここまで実施できたら、キャンペーンの効果を分析し、必要に応じて戦略を調整します。
具体的には、Googleアナリティクスなどのツールを使用して、マーケティング活動の効果をデータで定期的に分析します。
そして、データに基づいて戦略を継続的に改善し、より効果的なマーケティング活動を実施します。
プロダクトマーケティングのフレームワーク・手法
プロダクトマーケティングを実施する際に有用なフレームワーク・手法を5つ、ご紹介いたします。
製品コンセプトの3要素
製品コンセプトの3要素とは、「製品の特徴」「顧客の利益」「差別化要因」の3つの要素のことです。
これらを軸として製品コンセプトを明確にすることで、競合他社との差別化を図りやすくなります。
製品の特徴
「製品の特徴」は、顧客が製品を選ぶ際の主要な判断基準となる要素です。 製品の基本的な機能や性能を明確にし、技術的な特徴や革新性、使用方法などを含めると良いでしょう。
顧客の利益
「顧客の利益」とは、製品が顧客にもたらす具体的な利益や価値のことです。
これは、顧客が製品を購入する理由となる重要な要素です。
たとえば、時間の節約、コスト削減、生活の質の向上など、顧客にとっての実質的な価値を強調しましょう。
差別化要因
「差別化要因」とは、市場での製品の立ち位置と競争力を高める要素です。
たとえば、デザインや品質、ブランドイメージ、顧客サービスなど、製品を特別なものにする要素です。
競合製品と比較して、製品のユニークな点や優れている部分を強調しましょう。
プロダクト3層モデル
「プロダクト3層モデル」とは、プロダクトの価値構造を3層に分け、製品戦略を整理するフレームワークです。
製品特性を「コア」「実際」「拡張」の3層に分けて、各層で製品特性の要素を検討します。
コア製品
製品の基本的な機能やサービスを定義します。消費者が最初に求める製品の核となる部分となります。
たとえば、スマートフォンの場合は、通話やインターネット接続などの基本機能がコア製品に当たります。
実際の製品
顧客が製品を選ぶ際に目にする具体的な特徴です。
デザイン、品質、ブランド名、パッケージングなど、製品の物理的な側面を含みます。
これもスマートフォンで例えると、デザインやカメラの性能、ブランドイメージなどが該当します。
拡張製品
顧客の満足度を高め、製品体験を豊かにする要素です。
オプションや顧客サポート、保証など、製品を取り巻く付加価値です。
スマートフォンにおけるアフターサービスや保証期間の延長、専用アプリケーションなどがこれに当たります。
FABE分析
「FABE」とは、「Features(特徴)」「Advantages(利点)」「Benefits(利益)」「Evidence(証拠)」の頭文字を取ったもので、これらを分析することで、消費者に対して効果的な提案を行うことができるようになります。
Features(特徴)
「Features(特徴)」では、製品の主要な特徴や機能を挙げ、技術的な側面や製品の革新性を強調します。
Advantages(利点)
「Advantages(利点)」では、「Features(特徴)」の特徴が消費者にもたらす具体的なメリットを強調します。
Benefits(利益)
「Benefits(利益)」では、消費者にとっての具体的な利益を明確にします。
製品が顧客の生活や業務にどのように貢献するかを示します。
Evidence(証拠)
「Evidence(証拠)」は、製品の効果や性能を証明するための具体的な証拠です。
上記の主張を裏付けるデータや事例を示します。
ホールプロダクト
「ホールプロダクト」とは、顧客が求める価値を提供するために必要な製品やサービスの組み合わせのことです。特に、SaaSなど、IT製品で用いられるフレームワークです。
ホールプロダクトを考えることで、競合他社との差別化や顧客満足度の向上につながります。
ホールプロダクトは、「完全な製品体験」と「顧客の期待」から構成されます。
完全な製品体験
「完全な製品体験」とは、製品そのものだけでなく、顧客が製品を使用する際の全体的な体験を考慮ことです。
たとえば、iPhoneは単にスマートフォンとしての機能だけでなく、App StoreやiCloudなどのサービスやアクセサリーなども含めて、ホールプロダクトとして顧客に提供されています。
また、顧客が製品を通じて得られる感情的な満足や利便性を含みます。
顧客の期待
「顧客の期待」とは、製品を使用する際に、顧客が期待するすべての要素を指します。
そして、顧客の期待を超える体験を提供することで、顧客満足度を高めます。
製品ライフサイクル
「製品ライフサイクル」とは、製品の開発から廃棄までの全過程を表すフレームワークです。
製品ライフサイクルには、一般的に以下の4つの段階があります。
導入期
市場への新製品導入時の戦略を立案します。
このフェーズでは、製品の認知度を高め、初期の顧客を獲得することに重点を置きます。
成長期
市場での成長と拡大を目指す戦略を策定します。
製品の普及を促進し、市場シェアを拡大することに焦点を当てます。
成熟期
競争が激化する市場でのポジショニングを強化します。
製品の差別化やブランドの強化に努めます。
衰退期
市場からの撤退または製品の再定義を検討します。
新たなイノベーションや市場ニーズの変化に対応するための戦略を考えます。
プロダクトマーケティングの資格
プロダクトマーケティングの担当者が、身に付けておきたいスキルと合致する資格試験を3つ、ご紹介いたします。
ITストラテジスト試験
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/st.html
ITストラテジスト試験は、IPA(Information-technology Promotion Agency, Japan/独立行政法人情報処理推進機構)が運営する資格試験制度です。
そもそもITストラテジストとは、エンジニア系上級職の一つで、経営者目線でIT戦略の立案と実行を主導する戦略家のことです。システム開発の超上流である事業計画段階から参画します。
ITストラテジストには、ITを活用した事業革新や業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進または支援できるスキルが求められます。
具体的には、業種ごとの事業特性を踏まえて、経営戦略の実現に向けたITを活用した事業戦略を策定し、実施結果を評価したり、事業戦略の実現に向けた情報システム戦略と全体システム化計画を策定し、実施結果を評価したりできる力です。
試験日程は、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。
システムアーキテクト試験
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sa.html
システムアーキテクト試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でシステム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。
システムアーキテクトとは、システム開発において上流工程(分析や設計など)に携わる職種のこと。ITストラテジストによる提案を受けて、情報システムを利用したシステムの開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、開発を主導します。
情報システムの構造設計や要件分析や情報システムの評価などを実現できるスキルが求められます。
試験日程はこちらも、年1回となっており、午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。
プロジェクトマネージャー試験
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html
プロジェクトマネージャー試験も、IPAが運営する資格試験制度です。
こちらも、プロダクトの中でも特に、システム開発が必要なものを開発する場合に向く資格です。
なお、プロジェクトマネージャー(Project Manager)とは、システム開発を中心とするプロジェクトの総責任者のことで、PMと略されることも多いです。
試験では、組織の戦略及びシステム全般に関する基礎知識をはじめ、プロジェクトの目的を実現するプロジェクト計画を作成するスキル、プロジェクトチーム全体の意識統一やパフォーマンスを向上するスキルなどが求められます。
試験日程は、こちらも、年1回。午前と午後にそれぞれ2部ずつが用意され、全4部をこなす必要があります。
プロダクトマーケティングの成功事例
プロダクトマーケティングについて、もっと具体的なイメージを持つために、実際にプロダクトマーケティングで成功した商材の具体例を見てみましょう。
AppleのiPhoneなど
Appleは、革新的な技術と優れたデザインで、iPhoneを始めとするさまざまな製品で市場をリードしてきました。製品の使いやすさと直感的なインターフェースに重点を置き、ユーザー体験を最優先しています。
特に、iPhoneは、製品の機能だけでなく、ライフスタイルを変えるデバイスとしてブランディングしています。
Apple Storeや顧客サポートを通じて、購入後の顧客体験も強化しました。
さらに、定期的なアップデートと新機能の追加で、製品の魅力を維持し続けました。
その結果、iPhoneはスマートフォン市場におけるトレンドを常にリードする存在となりました。
Netflixのオリジナルコンテンツ
Netflixでは、既存の映画やドラマ、アニメのコンテンツに加え、魅力的なオリジナル作品を多数、取り揃えることで人気を博しています。
オリジナルコンテンツのジャンルは多様で、幅広い視聴者層をターゲットにしています。 そして、 ユーザーの視聴傾向を分析し、好みに合わせたコンテンツを推薦するシステムを導入することで、視聴を促しています。
オリジナルコンテンツによってほかのストリーミングサービスとの差別化を図るとともに、高品質な作品制作により、Netflixブランドの価値を高めています。
オリジナルコンテンツは多言語に対応することで、世界中の市場に適応。また、地域ごとの文化や嗜好を反映したコンテンツで、グローバルな視聴者を獲得しました。
UNIQLOのヒートテック
UNIQLOが展開するヒートテックは、防寒ための革新的な機能性インナーウェアとして、世界中でヒットしています。薄くて軽くて伸縮性が高いので、着心地も快適で、色やアイテムのバリエーションも幅広く用意されています。
価格設定や店舗展開を通じて、買い求めやすい製品として位置づけられ、機能性とファッション性を兼ね備えた製品として、幅広い顧客層に受け入れられました。
「ヒートテック」という独自の名称とロゴを用いて認知度を高め、テレビやインターネットなどのメディアを使って広告キャンペーンを展開し、ブランド認知度を高めました。
プロダクトマーケティングを学べる本
プロダクトマーケティングに特化して書かれた本は、そう多くはありません。
ここでは、5冊をご紹介いたします。
『LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング』
著:マルティナ・ラウチェンコ 出版:日本能率協会マネジメントセンター(2023年7月発刊)
プロダクトマーケティングの基本を解説した本です。
同書では、市場で「勝ち組」と「負け組」の明暗を分けるのは、プロダクトそのものではなく、より優れたプロダクトマーケティングがあるかどうかだと主張します。
事例では、成功事例ばかりでなく失敗事例も取り上げ、敗因についても学ぶことができます。
プロダクトマーケティングを学ぶ際、最初に読むべき本だといえるでしょう。
【LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング の目次】
PARTⅠ プロダクトマーケティングの基本
アンバサダー、ストラテジスト、ストーリーテラー、エバンジェリスト
PARTⅡ プロダクトマーケターの役割
スキルと責任、パートナーシップ
PARTⅢ プロダクトマーケティングの戦略
戦略を導くコンセプト
PARTⅣ ストーリーとメッセージング
効果を生み出す実践とプロセス
PARTⅤ プロダクトマーケティングリーダー
組織変革と成長、人材採用と育成
画像引用元:『プロダクト・マーケティング』(版元ドットコム)
『プロダクト・マーケティング』
編著:竹永 亮、監修:山口 正浩 出版:同文館出版(2010年2月発刊)
製品の企画立案から販売までの間に、何を決めておくべきかを解説した本。
製品開発において、価値を創造する「価格戦略」とともに「製品戦略」を立てることが推奨されています。
なお、同書では価値とは「製品と価格の差」と定義されています。
価値を創造するために、製品のレベルを上げる方法をいろいろな角度から考えるのに役立つでしょう。
マーケティング担当者のほか、製品開発担当者にもおすすめの1冊です。
【プロダクト・マーケティング の目次】
1 顧客価値
2 プロダクト・マーケティングの意思決定
3 新製品開発戦略
4 既存製品活性化戦略
5 プロダクト・マーケティング関連法規
6 プロダクト・マーケティングの事例紹介
『ソーシャル・プロダクト・マーケティング』
著:野村 尚克、中島 佳織 出版:(2014年3月発刊)
モノがあふれる現代は、価格面での努力はもちろん、差別化を図っても、なかなか売れにくい時代です。そんな中、解決手段の一つとなり得るのが「社会課題×マーケティング」だといいます。
本書では、現代マーケティングの第一人者として知られるフィリップ・コトラーが提唱したソーシャル・マーケティングのうち、プロダクトにしぼり、
- 売上の一部を寄付する「コーズブランド」
- 途上国との正当なビジネスを推進する「フェアトレード」
- 社会に対する態度表明へとつながる「エシカル消費」
といった取り組みについて、方法論や成功事例が紹介されています。
【ソーシャル・プロダクト・マーケティング の目次】
1章 マーケティングとCSR(変化する時代;マーケティングの定義の移り変り ほか)
2章 コーズ・リレイテッド・マーケティング(コーズ・リレイテッド・マーケティングとはなにか;CRMの起源 ほか)
3章 フェアトレード(フェアトレードの概要;国際フェアトレード認証ラベルの仕組み ほか)
4章 エシカルについて(エシカルについて;日本のエシカルビジネスの現状 ほか)
5章 ソーシャル・プロダクト・マーケティング座談会
『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』
著:前田 俊幸、安達 淳 出版:翔泳社(2023年10月発刊)
バリュー・プロポジションの重要性を説くとともに、バリュー・プロポジションを作るために「いま顧客はどのような状況にいるのか?」を正しく掴むことの必要性についても書かれています。
著者によれば、「バリュー・プロポジション(value proposition)」とは、“顧客が価値を感じられるもの”のことだといいます。
バリュー・プロポジションを作るメリットは、いくつかありますが、プロダクトマーケティングを考える上では、プロダクトのコアメッセージ※を統一できたり、差別化要素を発見できたりする点が有用です。
読者特典として、誰でもバリュー・プロポジションがつくれるフレームワーク「バリュー・ダイヤモンドボード」が付いています。
※コアメッセージ…伝えたいメッセージの中心となるもののこと。
【バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく の目次】
基礎編
第1章 顧客の状況と価値
第2章 状況と体験
第3章 顧客価値を可能にするもの
第4章 バリュー・プロポジションのつくり方
第5章 バリュー・プロポジション温故知新
実践編
第6章 バリュー・ダイヤモンドボードの書き方
第7章 状況をとらえるリサーチ手法
引用元:『バリュー・プロポジションのつくり方 顧客の価値を「状況」で考えればプロダクト・サービス開発はうまくいく』(amazon)
『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』
著:ウェス・ブッシュ 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン(2021年10月発刊)
PLGという成長戦略を取ることのメリットとデメリット、実践方法などを解説した本です。
なお、PLGとは「Product-Led Growth(プロダクト・レッド・グロース」の頭文字を取ったもので、プロダクトそのものにマーケティングや営業の機能を付加することでユーザーの獲得や満足度、ロイヤリティを高め、ひいては販売者の成長を目指すという考え方のことです。
簡単にいうと、プロダクトがプロダクトを売る状態を指し、プロダクトをいち早くエンドユーザーに届け、その価値をできるだけ早く感じてもらうことが重要だといいます。
たとえば、フリーミアムモデルで口コミを広げたZoomやDropbox、直感的な操作性で多様な用途に利用されているCanvaなどは、PLGの成功事例といえます。
さまざまなフレームワークも紹介され、特に、SaaSプロダクトを販売する企業におすすめです。
【PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ の目次】
Part I 戦略をデザインしよう
第1章 PLGの重要性が急速に増しているのはなぜ?
第2章 武器を選ぼう―フリートライアル、フリーミアム、デモ、どれが最適?
第3章 海(オーシャン)のコンディションを調べる
第4章 オーディエンス―販売戦略はトップダウン型とボトムアップ型のどちらか?
第5章 タイム・トゥ・バリュー―いかに早く価値を示すことができるか?
第6章 MOATフレームワークでPLGモデルを選ぶ
Part II 自社ビジネスの基盤を築こう
第7章 プロダクト主導型ビジネスの基盤を築く
第8章 プロダクトの価値を理解する
第9章 プロダクトの価値を伝える
第10章 価値を提供する
第11章 プロダクト主導型ビジネスにおける最もよくある過ち
Part III 成長エンジンに火をつけよう
第12章 最適化プロセスを開発する
第13章 ボウリングレーン・フレームワーク
第14章 ユーザーごとの平均収益(ARPU)を上げる
第15章 チャーンビーストをやっつける
第16章 真に成功している企業はなぜプロダクト主導型なのか?
引用元:『PLG プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ』(amazon)
まとめ
プロダクトマーケティングは、製品・サービスの成功に不可欠な取り組みです。
ターゲットの明確化、ポジショニングの策定、マーケティング計画の策定、実施と評価の各ステップを丁寧に実行することで、製品の市場での成功を目指すことができます。
これから新たな製品・サービスを開発しようという企業や、既存の製品・サービスを改善しようと考えている企業などのマーケターは、ぜひ、プロダクトマーケティングに取り組んでください。